「あいちACPプロジェクト研修会へ参加」
厚生労働省では平成30年度人生最終段階における医療体制整備事業として「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの啓発」をすすめております。
そして今回、愛知県民に対してACP(※)を拡げられるエリアリーダーの育成を目的として研修会が開催されました。国立長寿医療研究センターの三浦先生を中心としたワーキンググループで2次医療圏ごとでの育成の為、県内10カ所で開催をされています。
その中の1カ所、江南厚生病院で10月28日(日)開催された「あいちACPプロジェクト〜共有意思決定支援を学ぶ研修会〜」に院長鈴木医師と看護師須田で参加して参りました。
ACPに関する研修はここ数年で何回か参加させてもらっていますが、今回また新たな情報や考え方など多くの学びを得ました。その中の一つを紹介します。「共有意思決定支援」(シェアード・ディシジョン)という意思決定方法です。
療養者の心身・病気の変化により療養場所や治療の選択などをする場面で「医師からの一方的な説明に対し療養者がそれに同意をする」のではなく療養者本人は「決定するための自分の価値基準を明確して、医師やケア提供者の情報を理解し、対話しながら意思決定をする」そして、その情報の流れは一方向でなく「双方向」です。
「療養者→医師やケア提供者へ価値観や好みに関する情報を提供し、医師やケア提供者→療養者へ、科学的根拠に基づく治療の選択や各選択のメリット・デメリットに関する情報を提供し、繰り返し話す」ということです。意思決定者は「療養者」だけでなく「医療者・ケア提供者」も共に意思決定者だという考えです。共に情報を得て考えその人にとっての最善を考え決定していくのです。
そして、これは生命に関わる難しい選択の際はもちろんですが、日頃から負担の少ない意思決定を重ねて体験し、難しい意思決定へ向けて療養者自身も学び・トレーニングすることを推奨されていました。
簡単に言うと「医療者やケア提供者が『この方法がよい』と思ったことを勧めるのではなく、療養者を中心とした家族等とそのひとの価値観や希望などよく聞き、質問をし、対話を繰り返しながらその人の価値観や考え方にあった方法を一緒に考え決めていきましょう」と言うことです。
簡単なようですが限られた時間の中で実行していくことは難しく、時間制約が一番の課題だと思います。しかし、私たち結ファミリークリニックでも連携する事業者の方々とこの考えや技術を習得しながら制約ある時間の中で病気や人間としての成熟の頂点である老い・死に直面した際にその人らしく暮らし・生きれるような意思決定を互いに支えられるよう日々精進して参りたいと思います。
療養者の方々もどうぞ自分の考え・選好・希望・目標をどんどん教えてください。一緒によりよい方法を話し合いましょう。
※ACP(アドバンス・ケア・プランニング)… 将来のケアに関する価値観、大切にしていること、気がかり、目標、選好を理解し共有することで、あらゆる年齢または健康段階の成人をサポートするプロセス。重篤で慢性の病気の際に患者の表明した意思に合致したケアを人々が受けられるようにすることを目標にしている。(国立長寿医療研究センター西川医師 ACP研修会レジュメより抜粋)